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米TB小説1-5

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ゴードン・トレイシーは、大尉(キャプテン)の制服でヒロ港のドックに立ちながら、自分の本領を感じていた。足下に感じる木材の感触、塩味をおびた空気、暖かい潮風、すべては彼を元気にした。太陽を正面に労働者を監視するゴードンの後方には、巨大なはしけが浮かんでした。トレーシーテクノロジーの労働者たちは、資材を運ぶために、ドックを通過した。彼らがゴードンのところで停まると、ゴードンは積荷をチェックし、ポケットサイズのコンピューター端末でそれをチェックした。
 まだ他のトレーシー兄弟は搭乗していなかった。だが、そのうちにスコットが近づいてくるのが見えた。彼の最年長の兄はカートを押していた。それにはギターを含む彼の荷物が載っていた。スコットは私服だったが、ゴードンに敬礼をして挨拶した。「乗船許可を願います!サー!」
ゴードンは微笑んで敬礼を返す。「乗船を許可する、スコット」 ゴードンは手持ちのコンピュータに別の画面を開いた。「きみは5番区画だね」
 スコットは、ゴードンが指示した辺りをうかがった。「分かった、僕はそこだな」 
その時、地元の保育園から来たような格好をした大柄の男が、電動カートを運んできた。カートには強大な箱が三つ平らに横たえてあった。それぞれ5メートルの長さで、積み重なっている。箱の横には、約2メートル高の鉢植えの緑豊かな植物があった。オフィスの角で目立たずおかれているようなやつだ。その保育園から来たような男がゴードンのところまでくると、電動カートを静止させ、ゴードンに書類をわたす。
「ご注文の植物です、マック」
 ゴードンは不思議それを見ました。「ああ、確かにこの鉢植えは頼んだけど」 オフィスの鉢植えを示して言った。「でも、他は頼んでないよ」
 「これはなんだろうな」スコットが問う。
 「3ダースの人工椰子って書いてある」ゴードンはカートに上り、箱を開いた。中には、書類の通り組み立ての人工椰子の木がみえた。

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 「その通りです、マック」その男が言った。「それを入れるように言われました」
 「でも、確かに僕はそれを注文してない」ゴードンは再び抗議した。
 「パパはお前のジョークだと思ったんじゃないか、ゴードン」、とスコット。
 「でもスコット、ぼくは本当に注文してないんだよ」
 「違う、私が注文したんだ」と声が。
 ゴードンとスコットは振り返るとそこには、彼らの父親が立っていた。車輪付きのスーツケースを押して。
 「良かった、お分かりの方がいて嬉しいです!」と保育園っぽい男が言った。
 ジェフは箱のサイドパネルを開けて、荷物をチェックし、息子たちを振り返った。「その男を通していいぞ、ゴードン」
 「オーケイ、父さん」ゴードンは書類を受け取り、手を振って男を通した。
 「その椰子は何のために?」スコットが尋ねると、
 ジェフは笑って、「そのうち分かる」と。ジェフはゴードンに向き直るとスマートに敬礼した。「乗船許可を願います!サー!」
 ゴードンは敬礼を返し。「乗船を許可する、父さん」
 ジェフはゴードンのキャプテン帽と一式おあつらえの制服、膝丈カーキー色パンツ、膝丈白ソックス、白いシーシューズを見て満足げに頷いた。そしてスコットに「君の制服もベッドの下にあるからな」
 「制服? 僕たちは制服を着ないといけないんですか?」
 彼らは向き直ると、そこにアランが、スコット同様にカートを押して立っていた。さらにその後ろにはバージルが同じようなカートに電子キーボードとバックを積んで続き、そしてジョン。彼は荷物に自分のディブソニアン望遠鏡を荷物に加えていた。
 ジェフは末っ子を見た。「そうだ、我々は全員制服を着用する。私たちはこのはしけの上では一クルーに過ぎない、個々に義務を負い。その義務を果たすため、プロとして働くために制服を着るんだ」
 アランは眉をひそめたが、バージルは「いいですね、気に入りの服をグリスでよごさないで済むってことだ」
 ジェフは自分の荷物ケースをもってドックの端まで進むと、キラノと若者に会った。彼らも自分の荷物をカートを押し運んできている。

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彼らは、ジェフはが新人と、短い頭髪に広い額、大きな厚い眼鏡の若者と進んで来るのをみた。
 「君たち、こちらがブレインズだ。ジョン、君はもう知っていたな」ジェフは続けて、他を紹介した。
 アランは手を振って言った。「えーと君は僕たちになんて呼ばれたいんだい?…ブレインズ?」
 その若者は頷いた。
 「他の名前はないのかい?」アランがさらに問う。
 「ぶ、ブレインズだけだよ。」若者はどもった。
 「オーケイ、君がそれがいいっていうなら」アランは愛そうよそういった。
 ジェフは再び自分の荷物を持ち上げると、スコットの腕に触れた。「スコットと私はすでに乗船して移動する許可を得ている。君たちはまだ申請する必要があるぞ」とわざとらしく追加した。


 はしけがドックを離れると、彼らは全員でコントロールルームの中を組み立てた。ゴードンは誇らしげにすべてのコントロールを説明してみせた。「それは飛行機の自動操縦によく似てるんだ」と。「でも、誰かが常にここにいて監視する必要がある」
 アランは腕を組んで言った「なんで?自動操縦なんだろう?」
 「なぜなら、機械は絶対確実ではないからだ」ジェフが説明した。
 ゴードンは腰のベルトの小さな金属製の箱に触れた。「もしなにかトラブルが起こったら、僕には知らされる」
 ジェフはゴードンの通信装置をベルトから取り外し、戻す前にその使用方法を他のメンバーに示した。
 キラノは、彼は彼自身の東洋風のシェフのいでたちのままだった。彼は植物の葉をみた。
 アランはキラノを呼び止めた。「キラノ。あなたの植物学の学位から言って。これはどんな種類の植物だい?」彼は、ゴードンのオフィスの観葉植物を示して言った。
 キラノは植物を調べた。彼はその手で植物の葉を撫でた。微笑み、キラノはゴードンにウィンクし、アランに答えた。 「ああ、この植物はちょとした品種です」キラノはドアから出ていった。
 「分かったよ、ぼくには言えないのか」アランは不満げに言った。
 「アラン」スコットは植木鉢の上の金属板を示した。「それは”イチジク”って書いてあるぞ」
 アランはそれを見ると肩をすくめた。「分かりやすすぎる問題だと思ったよ」
 ジェフは手をジョンの肩においた。「ジョン、お前には月基地の建設の経験がある。だからきみなら既に分かっているだろう。バージルと私が他の兄弟に言わないといけないことが。君は最初にここを見るんだ」


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 「オーケイ、父さん」
 ジェフはジョンにデータカードを手渡し、コントロールパネルの最上部にあるコンピューターコンソールを指さした。「お前は私が他の者たちと貨物室に言っている間も、回路図をみることができる」
 ジョンは微笑んだ。「ありがとう、父さん」
 ジェフはデッキの下、貨物倉庫に招き、案内をしてみせた。「全ての乗組員の宿舎はデッキの上にある。これは完全に消耗品だ」
 スコットはそのドアを通り過ぎるとき、覗き込んだ。「これはヘリジェットの格納庫だ」
 「私たちは随時本土に行き来する必要がある。そして島に滑走路を敷設するまで、飛行機は使えない」
 「そういえば、父さん」ゴードンは一緒に歩きながら、話題を挟んだ。「僕、ちょっと前にホノルル開催のチャリティイベントに申し込んだ。行ってもいいですよね?」
 ジェフは歩調を緩めずに、振り返って答えた。「いつだ?」
 「だいたい一カ月後。それまでにトレーシーアイランドも落ち着くはずだし」
 「何のイベントだ?」ジェフが問う。
 「ああ、よくある水上ショーだよ。もう今までに百回はやってきたけど、何もなかった」
 「そう、パワーボートレースみたいなね」アランが相槌を打った。
 「分かっているだろう、ゴードン」ジェフは言うと、後ろのみんなを一目し、そしてまた導き歩き始めた。「もしお前に何かあったとしたら、私たちは一人失う」
 「僕は、君をせ、せ潜水艦による救助に期待していたんだけど」 ブレインズが言った。
 「全部うまくやるよ」ゴードンは言った。
 「それについては私に少し考えさせてくれ」 とジェフ。
 「分かりました、父さん」ゴードンの声は、考え巡って父が元に戻ってくると確信していた。
 ジェフはドアを通過すると、証明を点けた。他のみんなも入ってくると、大きく、高く屋根の部屋を見た。コンピューターコンソールを備えた机が、部屋の入り口近くに置かれていた。ジェフは机に座ると、自分のデーターカードをコンピューターに通した。
「来るんだ、そしてこれを見たまえ」


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皆が周りに集まった。「我々の最初の仕事は、機器を収容するために必要な建物を作ることだ」とジェフは説明した。「私が月基地で居住区と発射台を建てた仕事と、あまり変わらないだろう。」
「宇宙船と他の航空機は?」アランが問う。
「に、忍耐だよアラン」とブレインズ「その時が来るさ。」
「我々はこのバージで、今ここで必要なもののいくつかを構築することができる。」とジェフは続けた。「すぐに必要とされるのは発電所だ。これが、ブレインズに設計された核融合炉だ」
スコットは喜び感心した。「 僕が知っている稼働している唯一のリアクターは、まだラボで実験段階だ。」
「僕はじ、じ、実用上の問題を克服しました。 すべての航空機にもフュージョンエンジンが搭載される予定です。」とブレインズは言った。
「また、優先順位のリストの上位には、水と下水処理場がある。」アラン言いたげな顔で、何も言わなかった。
「それは月基地でも不可欠な要素だ。」バージルが末っ子を納得させた。「水は我々の計画に不可欠だ」ブレインズが説明した。「僕たちには核融合のためにす、水素が、宇宙船には酸素が必要です。」
ヴァージルは近くの機器を集め、それを手掛かりに、レッスンを始めた。
「このすべての鍵は、トレーシー溶接と呼ばれるものです。私たちがこのようにパネルを融合すると、彼らは一枚に鋳造されたのと同じくらい強いのです」
「なぜ一枚に鋳造しないんだい?」アランが聞いた。
「建物全体を一枚にすると運搬が難しい。小さい部品は積み重ねられ、コンパクトな容器に入れて出荷することができる。その上、いくつかフォームを作成したり、元のフォームの計画を変更する柔軟性を得ることができる」
「バージルは君にどうやるのか見せてくれるだろう」とジェフ。
「バージルとジョンと私で、お前の仕事を検査する。そうすれば我々が建てているモジュールユニットの全てが分かるようになる。トレーシー・テクノロジーズの様々なプラントからモジュールが集められている。それを計画に沿って合わせていくんだ。」彼はコンピュータの画面を指さした。コンピュータの画面には、部品と、それがどのようにフィットするかが示された。
「さあ、始めよう。」スコットは両手をこすった。

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アランは橋の上のキャプテンチェアーに座り、この24時間でいかにひどくなったかを訝しんだ。昨日はヒロ港の快適なホテルで目を覚ました。興奮し、休日に父が語った偉大な飛行船の建設を始める準備をした。それが下水処理ユニットの破片と部品の溶接で終わるだなんて! そして彼がやり遂げた時、そのうちの1つと検査に合格しなかった。彼の父親は、時間と材料を無駄にしている、彼が繋げたものはすべてやり直さなければならないと彼に言い聞かせた。それよりも悪いことに、彼の兄弟はあまり同情してくれなかった。スコットは、下水道工場が壊れた場合、アランがムカついてでも歩いて修理してもらわないとな!と。
制服の襟は下の部分が首を傷つけた。この制服は、その日がどれほどひどかったかを思い出させるもう1つだ。確かに、アランは父の指示に従うことに同意したが、それはティーンエイジャーが民間航空パトロールのようなものを想像し、監督の大人のスカウトパトロール指導者が彼に親切に説明してくれると思っていた。彼の父親が鬼軍曹の役をするなど想像していなかった。軍隊に入りたかったのなら、スコットとゴードンのように入隊していた。
そして今、彼はここにいた。父の命令で02:00(マルフタマルマル)から06:00(マルロクマルマル)は橋の監視で、そのあと20:00(フタマルマルマル)時に着床の運びだった。アランは、ゴードンがバージの船長であることに激しく抗議した。が、ゴードンは、父さんが最初にメンバーになった時確認たクルーの任務を遂行してると。そこには何も見逃す事もなかった。夜間視界のスクリーンで海を見ることもできたが、何時間も変わったことはなかった。ルーチンの単調さと、バージ・エンジンのメロディアスなハム音に、彼は何度かこっくりとうなづいた。諦めて、彼は立ち上がり歩き回り、コーヒーを飲む事にした。幸いなことに、キラノは橋にいつも十分にそれを用意していた。そして船長の椅子に戻った。
「喉が渇いた!」大きな低音が響いた。アランは椅子から落ちた、ドキッとした。彼は誰が話していたかを見て回った。彼は足を踏み入れ、コミュニケーションコンソールをチェックした。それは最近起動されていなかった。しかも、その音は彼の後ろから聞こえたようだ。


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「喉が渇いた!」
今回は驚かず、アランは音に向かった。それは植物から来たようだった。慎重に、彼はそれに向かってインチをつめた。
「喉が渇いた!かわいた!渇いた!」声の発するレベルがアランを苛立たせた。
アランがため息をつく。またゴードンのジョークだ。彼は植物をよく探したが、スピーカーは見つからなかった。多分小さなサウンドチップに違いない、どこにあるにせよスキャナーなしには見つけられない。
「喉が渇いた!」
アランは飲み物コーナーに行き、1杯の水をプランターに注ぎ込んだ。
「ありがとう」植物がしなって見せた。
アランは息を吐いて座った。はい、それは最悪の24時間だった。スコットがちょうど06:00にやって来た。
彼はドアの方を親指で示す。 「朝食だ、アラン。」
アランは立って植物に手を振った。「ゴードンの植物はしなるし、喉が渇いていると文句を言う。」スコットは植物を見て、アランを見返した。「何を期待した?ゴードンがやる事だ。お前も子供の頃、何年も彼と同部屋だっただろう。」「ああ、でもでもしばらく空いて、忘れてたみたいだ。」
「まあいい、気分が良くなったのなら。僕は電気シェーバーに「The Stars and Stripes Forever」の大音量のサウンドチップを入れられた。」「それでどうしたの?」「彼の部屋にこっそり入ってチップを電動歯ブラシに入れてやった。ちょうどバージルがスプリンクラーを天井に付けてるところだったよ。あいつの部屋につけてあったそうだ、雨を降らす前に見つけたって。」「ゴードンはみんなに?」「まだ全員には聞いてない。ブレインズはゴードンがラップトップコンピュータに人魚のメロディをポップアップさせようとしたって言ってたよ。彼はそれをゴードンのPCにコピーしたって。人魚が歌うのではなく、人魚が人指し指を振って「ハッキングはダメよ。」言うのを。父さんには手出ししないと思うけど。父さんはずっと前にゴードンに言ったから「キラノの限界だ。」って」
アランがうなずいた。

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「何か食べてこい、気分も晴れる。僕はヤツが植物のどこにチップを付けたのか探してみるよ。」スコットが言った。

朝食の後、ジェフは橋の上にいたスコットを除いて、貨物倉庫の組み立てセクションに息子達を呼び集めた。最後にゴードンが到着した。彼がこらえてに中に入ってくると、ジェフは「痛っ、いた、いたた」とゴードンが歩を進める度に発するのを聞いた。ゴードンがジョンの所まで来ると、ジョンは黙って腕を伸ばした。笑って、ゴードンの靴をその手にして。ジェフはそれをみて、ゴードンはジョンのランニングシューズ履いているんだなと。愚かな、ゴードンは靴を交換し、ジョンのランニングシューズを彼に返した。ジョンは靴を受け取ると壁の前に置いた。ジョンはすでに制服に着替えていた。
ジェフはゴードンを指して「君は耳たぶに練り歯磨きが付いている」
「ああっ」ゴードンはポケットからスカーフを取り、耳を拭いた。
「外は雨が降っていたのか?」ジェフは、ゴードンのユニフォームの肩が湿っていたことに気付いた。
「いや、いいえ」とゴードンは言った。「僕の部屋のスプリンクラーが故障して。」
「ジョンのランニングシューズのかかとにサウンドクリップが付いていたのと同じ類の故障か?」ジェフたずねた。沈黙が答えた。ジェフは続けた。
「少しの娯楽は何も悪くない、ボーイズ。しかし私たちの関係を悪化させないものにしよう、いいな?」
「はい、父さん」
「分かりました、父さん」
「OK、父さん」
「言う通りです、父さん」
ジェフはブレインズに向き直った。「では、今日は発電所の作業を開始する。」

5日間でそのバージはトレーシー島に着いた。彼らはゴードンが橋の上で監視しているので、ゆっくりと新しい家を回った。島はそれほど大きくなかった。岩は灰色と赤色で、片側は険しい崖の顔をしていた。もう一つは海に下る斜面の中腹に棚があった。

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「あの棚に家を建てるつもりだ。」とジェフは言った。「それはカテゴリー6のハリケーンにも耐えられるだろう。」
「この地域ではタイフーンって言うんじゃないかな?」バージルが言う。
ジェフが笑う。「その通りだ、バージル。」
「僕たちの騒音は、自然な洞窟の中のい、岩に見せかける。」と、ブレインズ。「そこをハンガーや収納に使用するから。」
ジェフが息子たちを見回した。「私はこれこそが今私たちの家であることを明らかにしたい。そうなるよう扱おう。」
「ええ、そうですね父さん。」とアラン。
「それは、物をきれいに整頓し続けることでもある。駄菓子や、食べかけのキャンディバーが落ちてないようにな。バスルームを使用する場合、主にバージのを使用するようにしよう。」
若者たちは慌てたが。スコットは彼らのそれに答えるように言った。「了解しました、父さん。」
「それでは荷揚げを始めよう。ゴードン、お前は揚げるのが上手いからそこで。」
ジェフ、ヴァージル、ジョンは重工業機器の使い方を他に示した。多くはマニュアル制御も、特定の作業のためにプログラム制御する事もできる産業用ロボットだった。ロボットは2~3階建ての巨大な赤いコーンに似ていて、狭い土台で、メカニカルアームを2本、あるいは4本持っていた。それぞれに狭いベースを備え、そこにはコントロールパネルとオペレーター用の座席を備えていた。ブレインズと一緒に、彼らは、ジェフがトレーシーヴィラと名づけた家屋、その援助インフラストラクチャー、そして航空機を含むすべての救助装置を構築するための詳しいステップバイステッププランをまとめた。洞穴の内部に入るためには、岩肌に開口部を作らなければならなかった。以前、島への訪問で、ブレインズの音波検査で岩に自然の亀裂があるのが明らかだった。そして、すでに月に似た仕事の経験があるジェフ、ヴァージル、ジョンは、四角い岩が緩くなるまで、ロボットを使って亀裂を慎重に掘り下げて広げた。そのロボットは、数十トンもの重量を安全に片側に移動させた。「なぜ爆薬を使って開口部を吹き飛ばさないんですか?」アランが尋ねた。

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ジェフとブレインズは彼に向き直った。「なぜなら、その正方形の岩石はハンガーの扉にするんだ。」ジェフは言った。アランの眉はまだ疑わしかったが、彼は黙った。
ジェフはため息をついた。 「午後はよく働いた、みんな。さあ夕食をとって、そして朝に再開だ。」

夕食後、ジェフは二脚のデッキチェアを外に置いた。キラノはトレイに一組のマイタイ(トロピカルカクテル)を運んできて、ジェフにその1つを渡した。残りの1つを手に取ると、彼は隣のチェアーに座った。彼らは、バージルが彼の電子ピアノをセットアップし、「Joplin rag」(スコット・ジョプリンのラグタイムって意味かな?)の演奏を始めたのを見ていた。ジョンは自分のドブソニアン望遠鏡をデッキに固定し、観察のためにそれを調整させ始めた。
「“トレーシー銀河”は見つけられるかい?」アランが彼にきいた。
「いや、そのためには宇宙望遠鏡が必要だよ。」とジョン。
「何を見てるんだい?」
「今は、木星とその月が綺麗に見えるんだ。」
「衛星が見えるのかい?」
「見てみよう」とジョン。
アランはやってみた。ジェフの位置から見ると、望遠鏡がバージで安定していたことに驚いた。その上巨大な艀は、特に海岸の近くのアンカーで、ほとんど揺れなかった。
「助けて!助けて!」ゴードンの声だった。ジェフとキラノは、ゴードンが自分の方向に走っているのを見て、椅子から半身を起こした。ゴードンは肩の大型水鉄砲をスコットめがけて発射した。スコットがゴードンの背後に駆け込むと、背中を射った。2人の年長者は再び腰を下ろした。ゴードンとスコットが兄弟たちのいるところまで来ると、彼らはその水鉄砲の決闘をみようと振り向いた。ゴードンは腰の予備の水鉄砲を彼らに手渡し、すぐに5人全員が西部劇ごっこに参加した。身をすくめ、濡れて、笑い、叫んだ。ゴードンはデッキを転がって、腕を横に構えて二人の兄弟を一度に射った。
「スコットさんが兄弟を追いかけるとは珍しい。」とキラノが述べた。
「ゴードンがあれを始めたんだ。」とジェフ。彼の手はグラスを持ったまま、四男を示した。「特別な水鉄砲ショーも、喧嘩で台無しになる。」

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「ゴードンはたぶんスコットを怒らせたな。スコットは別のピストルをつかんで射ち返し、追いかけたと私は見る。」
「なるほど。」キラノは飲み物を一口飲んだ。「いい息子さんたちですね、ジェフ・トレーシー」
「ああ、いい息子たちだ。」
「あなたは彼らの良き父親だ。」
「ありがとう。」
「でも、私は1人娘で良かったと思います。」
ジェフは笑う。「君の言いたいことは分かる。」

翌朝アランが起き、キャビンの窓から外を見ると、熱帯の土砂降りだった。彼は安心した。部屋には2つドアがあり、1つはデッキ、1つは廊下に繋がっていたから。朝食にために廊下を下って行くと、バージルとジョンが先にそこにいた。
「父さんは?」アランはききながら、皿のクロワッサンに手を伸ばした。
「父さんとスコットとゴードンは外に調べに行ったよ。」とバージル。
「この天気に?」とアラン。
「僕たちが救助活動を始めたら、ボランティア消防士だった頃と同じように、どんな天気でも働かないといけなくなる。」とジョン。彼はナプキンを置き、立った。 「彼らに手伝いがいるかな。」「多分、メインホールドに行って何かを溶接をするみたいだ。」とバージル。
「僕も部品の手渡しならできるよ。」とアラン。
バージルは微笑んだ。

「今、何ができると思う?」ジェフはドア口に立って、腰に手を置き、水滴を滴らせた。アランとバージルが彼に振り向く。「私たちは何か溶接をしようかと、父さん」とバージルは言った。
「今日の予定ではないな。すぐ、レインギアに乗って出るんだ。」
「でもひどい雨だ!」と、アラン。
「君は昨日の夕方も濡れていないようだったな。」アランは腕を伸ばしました。「そこは急流です!」

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「ひとたび私たちが稼働したら、ミドルクラスのハリケーンの中、救助を必要とし、コールを出そうとする人たちの誰がそう考える?」バージルは溶接装置で固定し始めた。 「分かりました。」
「でも、雨の中じゃ何も作れないよ、同じじゃない。」アランが言った。
「どう思ってもやるんだ。いいか?私たちが持っている装備は、それが月でも南極でも、あらゆる極端な状況に耐えられるように設計されている。さあ、行きなさい!」
アランが見るところ、バージルはジェフのいつもの調子に、悩まされていないようだ。一度外に出ると、彼は唸りながら働き、何でもないかのように父親や兄弟と話した。アランは、本当はどんな会話も望んでいなかった。しかし雨が降っていて、大きな音で話す必要があった。指示通り滑走路の境界マーカーの設定だけをした。正午ごろ、ジェフが歩いてきた。アランは防水時計を見た。昼食のために中に入るのを期待したが、それについて尋ねるほど大胆ではなかった。 「大丈夫か?」ジェフが尋ねた。 「お前は具合が悪いんじゃないか?」
アランは自分の仕事から目を話さず「いいえ、父さん。」
「分かっているな。お前がやりたくないならそれをする必要はない。」
アランは、父親が救助隊活動への参加のことを言っている、雨の中の作業のことだけを言っているのではないと知っていた。
「いいえ、大丈夫です。」
「本当に?」
「はい、父さん。」
彼はジャケットの腕で雨を拭き取った。すぐに彼の顔が再び濡れた。
「君がやめても、誰も何も言わんぞ。」
「僕は、僕の仕事をしてもいい?」
「ああ、そうだ。君は今日の朝よい仕事をした。私は君を誇りに思う。間違い修正することは成長した証拠だ。私は君に居続けてほしい。しかし、私が前に言ったことはまだ反抗し、君の心がここにないなら、去ることもできる。」
「僕はここにいるよ、お父さん。」ジェフは肩に手を差し伸べた。「そうか。空腹じゃないか?ランチにしよう!」ジェフは、他の息子たちも手を振って参加させた。

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その晩、ジェフは誰もいない会食ホールに入った。焼きたてのアップルパイと、淹れたての新鮮なコーヒーの匂いがする。給仕窓からのぞくと、キラノが厨房にいるのが見えた。キラノはPCのスクリーンに注意を払っていた。
ジェフは窓に乗り出した。「いい匂いのパイだな、キラノ。」
キラノは振り返った。「もうすぐできます、ジェフ・トレーシー。」
ジェフは微笑んだ。「待ちきれないな。そうだ、スコットと私でroto-tiller(小型耕運機)を手に入れたんだ。雨が止んだら、明日には君の植え付け作業も始められるよ。」
「ありがとうございます。」
ジェフがコンピュータの画面を示して、「何かインターネットニュースに面白いものが?」
「私の異母兄弟はカナダ当局に逮捕されました。」
「ああ、なるべくしてだな。」
「そうですね。ジェフ・トレーシー。しかし弟はいつも、どんな刑務所も自分を閉じ込められないと言っています。」
「彼はどこに居ても私を見つけます。私がどこにいようと。」
ジェフは眉を上げた。「君がマレーシアを出発して以来、彼と連絡を取り合って居たのは知らなかった。それは私のビジネスには関係ない。」と、急ぎ補足した。
「私は頻繁には彼と会っていません。それも簡単に会うだけで。」キラノは言った。「彼に会ってからもう何年にもなります。私がしばらく彼に会ってないなと考え始めると、彼は現れるんです。」
「彼は君に何か聞いてくるか?」
キラノは頭を横に振った。「彼は、私がうまくやっているのを喜んでいると言います、そして、自分もうまくやっている、自分のやり方で、と。」
「ティンティンは知っているのか?」
「彼女は知りません。」
「そうか、それで君はここでも、彼に頭を悩ませていたのか。」
「考えたくないのですが、私は不安です。」
ジェフはキッチンのドアから中に入り、キラノの肩に手を置いた。 「恐れることは何もない、我が友よ。息子たちと私で、あなたやティンティンに害が及ばないようにするさ。」


5章完
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プロフィール

がむら

Author:がむら
PN「がむら」でネットで呟かせてもらってます。
GA(ジェリー・アンダーソン)作品ファン、日本のTV人形劇ファン、新作TB(2015版)<隠語:「あれご」ファン。GA作品系のパロ漫画個人サークルで同人誌を発行し、即売会に参加するのが趣味。2019からオリジナルマンガ活動も再開!?
■PN:灼彗がむら(しゃくすいがむら) サークル名:一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう) 
■サークル活動:五月のティア128を予定
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